1 経営術:固い組織ほど崩れやすいことを理解しているか?!

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2固い組織ほど崩れやすい

”組織は力なり〟とか〝組織で当たる” とか、あるいは”チームワークの勝利”という言葉がいつもながら使われている。だが一体”組織”とは何を意味するのだろうか。百人の組織は、はたして個人を百人集めたものより大きな仕事を必ずしているのだろうか。

もしそうなら組織の人数は多いほどよいということになるではないか。少数精鋭〟や〝一騎当千”などという言葉は生まれてとなかったであろう。 不況が吹き荒れても企業は絶対につぶれないはずだ。

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国鉄は大赤字を累積し、その機能のまひ状態が批判されているが、地方の私鉄では合理的経営によって黒字をつづけている所が珍しくない。日通は生き残るために全国的に組織改革を行なったようであるが、その減量は並大抵のものではなかった。

反対にちっぽけな地方運送は需要をこなし切れずに活躍しているという。 『スモール・イズ・ビューティフル(小さいことはすばらしいことだ)』(シューマッハー著)が世界的に読まれているように、サイズに比例しないのがこの人間社会の面白さである。

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勿論、個人の力量はチーム力に圧倒される。組織も大きいほど良いし、大きいにこしたことはない。だが問題は中身であり、組織の力を生み出す人材の質である。特に今後の低成長時代にあって は、いかなる組織も、中身の人材のよしあしで勝負が左右されるようになっている。

だいたい組織をつくったら、 プラスアルファの力が新しく発生しなければ編成の意味はない。

つまり1+1イコール2になるだけなら、個人を集めただけでよい。1+1イコール3とか4になって初めて、組織力というものが出たことになるのである。プラスアルファを出すためには、人材の編成にプロフェッショナルな努力が必要となってくる。

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日本企業の多くは、新入社員を採用する時に、”秀れた能力”よりもむしろ、”人がらの良さ”、つまり”無難な人間”を採って来た。これは日本の労働市場のレベルが高く、ひどいボロ”はいないということにもよるが、組織に順応しやすい人間、はみ出さない人間を主眼として採ってきたとは事実である。

このために、まず縁故者が優先採用されたし、今でも依然として縁故者の方に有利な就職戦線である。大人数の大企業の場合は、縁故者以外の者でもポストを占めるが、小企業の場合はほとんどが縁故者であるということもある。

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そして縁故者のうちで最も血のつながりの強い者だけが重要なポストを占めていくとなると、ことに同族企業なるものが生まれるわけである。このようにして出来上がった組織は一見強固なようであるが、世間の事実はこれに反している。強固であっての入りこむスキマもないようだが、その反面発展にしくい。

そして親族間のトラブルから崩れた企業はいくらでも例がある。零細企業から出発して、金はためたが、中企業にさえも発育しないで、滅びてゆくのが多い。世間の耳目に入 ってこないから、数が少ないように思われるが、実は多いのである。

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外部の血を入れたがらない企業、これを筆者は「籠城型組織」と呼んでいる。同族企業のほとんどがこの型である。籠城型組織は固い結束で出来ているようで、実は落城しやすい組織である。

読者のまわりにもこれに似た籠城型組織はないか、一度よく観察してみるとよい。このような組織は、早く外部から新しい企業哲学と情熱とを呼びこんで、細胞を若がえらせることが必要である。

新鮮で柔軟な組織に更新しなければいけない。

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次に固陋として抜きがたい組織に「自然増殖型組織」がある。これは、企業の生い立ちから社長に従ってやってきた人達を次々と昇格させ、企業が発展するにつれて、専務常務部長次長課長課長補佐係長と、次々とポストを言葉は悪いが金魚の糞のように残べてつくり上げた組織である。数人で始めた商事会社が次第に発展して大きくなったものは、たいていの組織をつくっている。組織のあり方に科学的考察を加えなかった企業である。

中堅の建設会社にもこの型が多く見うけられる。企業の生い立ちからの功労に報いるのは大変よいことであり、必要なことであるが、入社の順番によって次々と組織図の中にぶら下げていく組織づくりは感心しない。

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年功序列でデッチ上げた組織は、やはり固いけれど応用が効かない。 応用が効かないから、経済変動に対応しがたく、崩れやすい。

高度経済成長時代は今や完全に終りを告げた。「不況」という名の安定成長が今後定着していく。この新しい時代にふさわしい組織づくりに早く着手しなければいけない。己が持つ組織の歴史を今一度かえりみて、もし自然増殖的に発展しただけの組織構成であったなら、いち早く「能力動員型組織」に切りかえなければならない。

万年不況 (実は安定成長)を乗り切れるような人材配合組織、能力動員への転換は早くした方がよい。

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この他に「権力分配型組織」がある。これは官僚(ビュロークラシー)の組織であり、企業の採用すべき組織ではない。大企業の中にこの「権力分配型」を数多く見るが、これも固く、機動力に乏しい。国際化が激しく進行している現在の経済社会では、コミュニケーションに時間がかかりすて、重大な意志決定に関して、他国に遅れをとりやすい。

次に役職インフレの落し子である「定食フルコース型組織」も、上部の方が硬直症にかかりやす部長、部長代理、部長付、次長などと、部長から課長の間だけでも、いろんな役職が百花繚乱と咲き乱れているので、統合と調整の機能が死んでしまうのが常態である。

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結束が出来ず、混乱が起きやすい組織である。

その他、ガッチリと組織を固めたが故の「自縄自縛型組織」、部門ごとに固められた「断層亀裂型組織」や「群島散在型組織」も散見される。いずれも固さが故の八方やぶれを呈している。

組織が組織たるの力を発揮しにくいタイプである。

コミュニケーション回路で結ばれた各種の役割 (職務)を一つのグループにまとめ上げたもの”が組織なのである。故に、理想的な組織、筆者が主張している「能力動員型組織」とは、個人の腕前(技術能力)を集団の腕前として集積し、連結し発揮させる柔軟性あるものを言うのである。

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例えばA旅行社、不況の折九人の従業員を三人に削った。残留したのは、軍隊時代にしょっちゅう斥候として敵情をさぐりに行ったDさんと、以前化粧品のセールスで活躍し、A社に来てからもすばらしい販売実績をあげていると、そして持ち前のパイタリティに物言わせて、夜業も平気な事務屋の君である。

社長とあわせて四人という少数精鋭の典型的な能力動員型組織である。

扇谷正造氏はその著 『桃太郎の教訓』の中で、なぜ桃太郎は、イヌ、サル、キジを鬼ヶ島征伐に連れていったかを述べている。イヌは行動、サルは企画、 キジは情報だという。これも一種の能力動員型組織である。

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A旅行社の場合も、Dさんの偵察(キジ)、E嬢の販売(サル)、O君の事務処理(イヌ)が見事に組織化されている。これこそ機動力をもって、経済変化に対応しうる組織であ
る。

そして、この組織内で要求される指導力(リーダーシップ)とは、メンバーの一人一人を仕事のリズムに乗せて、能力をフルに発揮させる資質であり、部下の達成感や満足感を充足させると共に、グループの目標に到達し得る遂行能力を言うのである。

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