もくじ
子どもの教育費、どう準備する?
(「教育費」の支援制度)
高校の学費を補助する二つの支援制度
いろいろと準備や工夫をしても、思わぬ支出や収入の減少などで教育資金が足りなくなったり、公立への進学を想定していたけれど、子どもが私立への進学を希望するといったケースもあるでしょう。
そんなとき、所得が一定以下の場合に利用できる制度が①「高等学校等就学支援金制度」と②「高校生等奨学給付金」です【図表5】。
①高等学校等就学支援金制度 (高校授業料無償化!) |
②高校生等奨学給付金 (返済不要で家計が助かる!) |
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内容 |
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金額 |
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- モデル世帯(両親のうちのどちらか一方が働き、高校生1人(16歳以上)、中学生1人の子どもがいる世帯)を想定しての年収
- モデル世帯で年収約590万円未満の場合の額(年収約590万円以上約910万円未満の場合は年11万8,800円)
- (出所)
- 文部科学省「高校生等への修学支援」より監修者作成
まず、①の「高等学校等就学支援金制度」は、いわゆる「高校授業料無償化」と呼ばれる制度で、高校の授業料に対する支援金により教育の機会均等を実現するという目的で、2010年4月にスタートしました。
この制度の対象となるのは、世帯年収が約910万円未満(モデル世帯)の家庭の生徒で、支援額は、全日制の国公立、私立ともに月額9,900円(年額11万8,800円)です。
さらに、従来から、世帯年収が約590万円未満の家庭で私立高校に通う生徒には「加算支給」が行われており、世帯年収270万円未満で年額29万7,000円(加算分含む)が最大の支援額となっていましたが、2020年4月の制度拡充により、年収約590万円未満の世帯で私立高校に通う生徒については、一律上限月額3万3,000円(年額39万6,000円)が支援されるようになりました。
なお、この支援金は家庭ではなく学校が受け取り、その支援金から授業料が支払われる仕組みとなっています。支援金で足りない場合は、その差額を学校に支払うことになります。
一方、②「高校生等奨学給付金」は、住民税非課税世帯(生活保護世帯を含む)を対象とした、授業料以外の教育費(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費など)に充てるために給付される返済不要の奨学金です。
生活保護世帯の生徒1人当たりの支給額は、国公立か私立かで異なり、国公立は全日制・通信制ともに年額3万2,300円、私立は同5万2,600円が支給されます。また、生活保護世帯を除く住民税非課税世帯の生徒1人当たりの支給額は、国公立か私立か、第2子以降は「15歳以上23歳未満の兄弟」がいるかどうかで異なります。第1子であれば、全日制の場合、国公立ならば年額8万2,700円、私立ならば同9万8,500円が支給されます。この奨学金は学校ではなく、家庭に支給される仕組みです。
①、②いずれについても、制度を利用するには所定の手続きが必要となります。申請書は学校で受け取れます。条件を満たせば両方の制度が利用できますので、高校での教育費負担を軽くすることができます。
大学では返済不要の給付型の奨学金が大幅拡充
もし、大学までに必要な教育資金を十分に準備できなかった場合には、2020年4月からスタートした「高等教育の修学支援新制度」を利用することが考えられます。
対象は住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯で、高等教育機関(大学、短期大学、高等専門学校、専門学校)の①「授業料等減免」と②「給付型奨学金」の二つの支援がセットになっています。
まず、①の「授業料等減免」とは、一定の要件を満たせば、各大学等が入学金と授業料を減額、もしくは免除する制度です。例えば、私立大学(昼間制)に通う住民税非課税世帯の学生の場合、入学金の上限が26万円、授業料の上限が年70万円となります【図表6】。
- 昼間制の場合
- 住民税非課税世帯の場合
① 授業料等減免額の上限
国公立(大学) | 国公立(短大) | 私立(大学) | 私立(短大) | |
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入学金 | 28万2,000円 | 16万9,200円 | 26万円 | 25万円 |
授業料(年額) | 53万5,800円 | 39万円 | 70万円 | 62万円 |
② 給付型奨学金の給付額(月額)
国公立 | 私立 | |
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自宅 | 2万9,200円 <3万3,300円> |
3万8,300円 <4万2,500円> |
自宅外 | 6万6,700円 | 7万5,800円 |
生活保護世帯で自宅から通学する人および児童養護施設等から通学する人は<> 内の金額
- (出所)
- 文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」より監修者作成
続いて、②の「給付型奨学金」です。日本学生支援機構の奨学金には、返済の必要がない「給付型」と、返済が必要な「貸与型」があります。また、貸与型には、貸与された金額に対して利息の付かない「第一種奨学金」と、利息の付く「第二種奨学金」の2種類があります。
従来、「給付型奨学金」は、採用基準が厳しく、採用枠も2万人に限られていました。新制度では、条件が大幅に緩和されました。
これまでの対象者は、住民税非課税世帯で、一定の学力・資質を満たす学生に限定されていました。新制度の下では、学力要件を満たさない場合でも、「進学先で学ぶ意欲があること」という条件を満たせば、奨学金の対象となっています。
「学ぶ意欲」は高校での面談やレポートの提出で確認されます。さらに収入基準の面でも、対象は年収380万円未満の世帯まで広がりました。
一方、給付型の奨学金の条件を満たさない場合は、貸与型の利用を検討することになります(平成30年度の利用者数は127万6,266人で、大学生の約2.7人に1人が利用)。とくに、利息の付く第二種奨学金は、所得制限が高めに設定されており、成績も「平均水準以上」と緩めです。
しかし、毎月数万円であっても4年間借りれば大金となりますし、利息負担も生じます。就職後も奨学金の返済に追われて苦しむ若者の例も報告されています。
もし、病気などで経済的に困って返済が厳しくなった場合には、一定期間は返済金額を2分の1または3分の1に減額して返済期間を延長する「減額返還」と、一定期間の返済を停止し先送りにする「返還期限猶予」を申請することができます。
万一、返済が滞ってしまうと延滞している割賦金額に延滞金が課せられるほか、「減額返還」を申請できないので、返済が厳しくなってきたら、延滞をする前に、「減額返還」や「返還期限猶予」の利用を相談しましょう。
また、貸与型の返済は貸与が終了した月の翌月から数えて7か月目から始まってしまう点には注意が必要です。4年生で留年したり、就職留年をした場合には、返済期限が猶予される「在学猶予」という制度の利用も相談してみましょう。
貸与型の奨学金を利用する際には、先々の返済も考慮した慎重な検討が必要でしょう。