「地方私大が消滅」コロナ禍と戦い悲劇に直面していくか

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「地方私大が消滅」コロナ禍とう戦い悲劇に直面していくか

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コロナ禍で「地方私大が消滅」とう悲劇に直面

「大学のオンライン化推進に向け、遠隔授業で取得できる単位数の上限(60単位)を緩和してほしい」。新型コロナウイルス禍が深まる中、早稲田大や慶応大などが加盟する日本私立大学連盟が文部科学省に提出した要望書が波紋を呼んでしる。

文部科学省は、授業の品質を維持するため、大学4年間で取得する124単位のうち、オンラインなどの遠隔授業で取得できる上限を60単位に規制している。足元は、コロナ禍によるオンライン授業の急増で、この規制が一時的に棚上げされているが、私大連の要望は、この規制緩和の恒久化を求めるものだ。敏感に反応したのは、地方の私立大学だ。

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早稲田大のようなブランド校が、オンラインを使って無制限に学生を集め始めたら、我々はひとたまりもない」からだ。 別の地方私大の大学関係者も「オンラインが主体になれば、中小大学はコンテンツ作りにお金をかけられる大学に負けてしまう」と憂慮しているのだ。

コロナ禍で、大学はオンライン環境の整備や学生への支援策など多額の負担をしている。学生数1万人のある大学では、5億円を超す持ち出しがあったという。もともと疲弊している地方の私大は、これ以上学生数が減れば、存続すら危ぶまれる。

授業を全てオンラインで実施し、そこで分かったのは、「オンラインは予想以上に高い学習効果があること」だ。オンラインを使って一つの科目で週に2回授業をする「反転授業」にも着目する。学生は週の前半にオンラインの講義を聞いて予習し、週の後半に少人数の対面授業でディスカッションをして理解を深める。

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しかし、「オンラインの上限が決まっていると、十分な効果が上げられない」 こうした一連の動きの背景には、「コロナを契機に、日本の大学が一段と周回遅れになる」ことへの懸念がある。欧米の大学に置いていかれないためには、デジタル技術を最大限に活用し、有能な人材を効果的に育てる必要がある。

日本でもっとも上位の東京大が36位にとどまる。日本企業はこの30年で、世界時価総額ランキングから姿を消し低成長にあえいでいる。日本の大学は国内産業の地盤沈下、人口減少などの重荷を抱えながら、世界の大学と戦わなければいけない。

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今年3月には、東京大と早稲田大が共同研究や学生交流、研究施設の利用などで連携協定を結んだ。国立・私立の枠組みを超え、「東大の研究力」「早稲田の応用力」というお互いの強みを組み合わせないと、欧米のライバルには勝てないとの危機感が背景にある。

学生が欧米の大学に留学して驚くのは、授業の少なさだという。一つの科目について教員や仲間と議論し、深く学ぶ時間がある。米国では日本のように入学時から学部・学科で細分化されず、複数の専門性を持つこともできる。加えて、「9月入学」と「4月入学」の問題、そして言語の壁だ。ガラパゴス化を脱しなければ、優秀な若者は日本の大学に見切りを付け、簡単に外へ出て行ってしまう。

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こうした問題を克服した先には、地方の大学にこそチャンスがある。「教育のオンライン化によって、どこにいても人とつながり、世界中の優れた授業を受けられることがあきらかになった。これから目指すべきなのは、地域を越え、国境を越えた、地球を基盤とする大学だ。ローカルな視点で、グローバルな問題の解決を目指すことが重要だ」。

実際、地方大学も授業のオンライン化をチャンスと見る向きが出てきた。地元でしか学べないプログラムを強化すると同時に、世界の二十数大学と提携し、「前橋にいながら世界の学びが得られる」仕組みづくりを進めることだ。

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◆注目すべきは「収容定員充足率」

「大学大倒産時代」において生き残る大学とは、どのような大学なのだろうか。大学を評価する観点は様々あるが、「生き残る大学」を見極めるにはまず、経営状況を正しく把握する必要があるだろう。木村さんは、大学の「収容定員充足率」に注目するとわかりやすいと話す。
「収容定員充足率とは、大学の全学年の収容定員に対しての在学生数から割り出せます。この数字がだいたい100%から110%くらいの間に収まっていると、大学経営として良い状況で教育レベルも維持できていると言えます」。

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仮に、ある年に新入学生が「入学定員割れ」になったとしても、大学全体の定員充足率が100%を超えていれば、収容定員充足率は定員割れとはならない。逆に言えば、この収容定員充足率が100%を下回れば下回るほど、大学の経営状況としては悪化の傾向にある。
今、誰もが聞いたことのある大学の中にも、収容定員充足率が100%に届かない学校が出はじめている。ネームバリューを信用し過ぎず、慎重に大学の経営状況を確認した方が良さそうだ。

「ちなみに、収容定員充足率が100%を超えていれば、それが150%くらいになっても良いのかというと、そうではありません。110%を超えてくると、大学の規模にふさわしい適切な学生数よりオーバーしているわけで、教育の質が落ちてきます。ですから、過度に高い収容定員充足率が数年も続く大学にはむしろ注意した方が良いです」。

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◆生き残る地方大学、その条件

収容定員充足率に注目して大学を見てみると、東京の知られた中堅私立大でも定員割れをしている大学が出始めた一方で、地方でも100%を超え続けている大学は何校もある。もちろん地方は、人口流出の影響もあり、大幅定員割れの危機にさらされ続ける私立大学も多いが、その中で受験生を集める魅力を生み出しているのは何なのか。木村さんは次のように答える。

「地方の大学が生き残るために必要なのは、地域連携に積極的に取り組むことだと私は考えます。実際にそれをやっている大学は、今適正の学生数を確保し着実に実力を伸ばしてきています。

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たとえば群馬県の共愛学園前橋国際大学は、文科省から『COC+』プロジェクトの代表校に選定されています。『COC+』とは「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」のことで、地域活性化の中核的存在の大学として地方の雇用創出に取り組む、という意味合いを持っています。この大学は、以前は定員割れでしたが、街づくりやボランティア活動など、地域連携事業に取り組むことで地元の高校からの評価が高まり、入試でも資格を重視し、安易に推薦入学の成績基準を下げて受けやすくすることはしないで、着実に大学の力を伸ばすことに成功しました」。

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また、長野県の松本大学は開学以来、学生が地域と積極的に関わり合いながら学べる環境を作ってきた。「松本大学では2002年からアクティブラーニングを導入しました。教室の講義型授業でなく、郊外で実習活動や討論型授業をして、学生たちの自発性を重視しています。今ではアクティブラーニングは多くの大学で取り上げられていますが、当時は珍しかったですね。
たとえば、松本市を訪れた外国人観光客への対応について、総合経営学科の学生がおもしろいアクティブラーニングをしていました。

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地元の松本城を案内するときに、どのような点をアピールするのかについて、日本人なら『日本最古の国宝の城』で、『白と黒のコントラストが特徴的』などと言えばいいかもしれませんが、日本の歴史を知らない外国人にとっては国宝と言っても魅力を感じないかもしれない。外国人観光客にいかにユーモラスに松本城の魅力を紹介するのか、実際にアンケートをとるなどして考察していたんです」。

上記は観光の分野における一例だが、松本大学のこのようなフィールドワークは、一般企業や行政、医療機関、環境や福祉など多岐にわたる分野で実施されている。最近では健康スポーツ学科の学生が、高齢者の健康寿命を延ばす健康運動指導士の実習を地域で展開している。これも地域貢献だろう。

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この3年間、収容定充足率が100%を超えている四国の松山大学も地域連携で知られる。えひめスイーツプロジェクト活動(愛媛県)、おもてなし日本一のまち松山支援事業(松山市)、遍路マップ制作事業、薬膳商品開発事業など多彩なプロジェクトで、地域と連携をしたり、貢献活動を繰り広げている。

「地域が抱える問題を知り、解決のための方法を考える。それは、地元の人たちがやりたくても忙しくてなかなかできないことですから、大学生がやってくれると助かりますし、客観的で信頼も厚くなります。こうした地域連携ができれば、地方の大学は生き残っていけます」。

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