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東大合格・偏差値40からでも大丈夫・“お得な学校”
親からしてみれば、できるだけ偏差値の高い学校に入れたい中学受験。だが、中学受験時の偏差値は低くても、6年間で子どもの学力を伸ばし、難関大学に合格させている「お得な中高一貫校」もある。
「入りやすくて、子どもの学力を伸ばしてくれる学校の多くが200人以内の小規模校です。生徒全員に目が行き届きやすく、それぞれの生徒に応じたきめ細かな指導ができます。生徒数に関係なく共通しているのは、中学段階で学習習慣と基礎学力を徹底的に身につけさせるということです」
「行事や部活を経験しながら、人間として成長していきます。行事が盛んな学校は子どもたちの幸せを願い、大事にしています。よく『面倒見のいい学校』という言葉が使われますが、何から何まで面倒を見ていると子どもの自主性が育ちません。本当の意味の『面倒見のいい学校』は、生徒が自立するためのサポートをしてくれる学校です」
「以前は、先取り学習をPRする学校が多かったが、最近は進度にこだわらず、生徒の苦手な分野に時間をかける学校が増えました」
これらの傾向があてはまるのが、A学園(東京)だ。2008年の偏差値は39だが、昨春、2人が東大に現役合格。そのうちの一人、東大文科二類1年の高野瑠人(たかのりゅうと)さんは、こう振り返る。
「中学受験時の偏差値は40弱。特別奨学生入試は不合格で、一般入試の2科目試験で入学しました。公立中の1.5倍の時間という授業を真剣に聴いて、わからないときは質問に行きました。担任の先生の授業はわかりやすくて英語が好きになり、高1のときに英検2級に合格しました。
数学は中2までは追試が多かったけれど、じわじわと力がついて、中3では成績が上位になりました」
「中学入学の時点では、勉強が好きではない生徒が多いため、全教員が丁寧に教えます。真面目に授業を受け、難関大学を目指せる力がついた生徒には、それ相応の勉強法のアドバイスもしています」
高2の夏期講習で「難関国立長文」では、まず東大の問題を見せる。
一歩ずつゴールを目指すというやり方ではなかなかゴールが見えず、やる気が出ない。だから、パラシュート方式でまずゴールを先に見せて、そこに到達するためのプロセスを各自が考えるよう、指導します。
T君が東大を目指したのは高2の夏から。それまでは学校に提出する計画表に目標と勉強時間を記録するだけだったが、東大の入試日から逆算し、合格するにはどうしたらいいかを考え、「この時期にはこれをやる」という計画を立てて実行した。
生徒の個性を認め、押し付けでも放任でもない、バランスのとれた指導をしています。できるまで教え、『やればできる』という成功体験を積ませることによって、生徒は自信を持ちます。
学力だけでなく、体力、豊かな感性、社会性、協調性を身につけられるよう、行事が多いし、学校周辺の清掃ボランティアにも取り組んです。
塾代に数千万円かける親も現実います
「東京大学に合格させる」。そう決意してからの道のりは、長かった。念願の東京大学(理II)に合格した。商社に勤務する夫の経済力と2歳から始めた幼児教育が役立ったという話もある。
子どもに合って、自分の熱意に応えてくれるような最高の塾探しに翻弄され続ける。幼稚園に入園したときには、既に平仮名と数字の読み書き、3桁までの足し算、引き算は習得していた。
塾ではフラッシュカードで記憶を定着させたり、積み木で立体的な空間の捉え方をさせた。塾長は生活のなかにも学ぶ楽しさを取り入れることが必要と謳い、子育て方法も指導してくれた。母親にとってはまさに神。
地方から飛行機に乗って面談を希望する人までいた。幼児教室をはじめ、プール教室、私立の小学校受験、国立の中高一貫校、大学受験と通塾にかかった料金は、約3千万円を遥かに超えた額。
毎月の通塾費に加えて、春、夏、冬の長期休みには講習費がかかった。息子の塾代の月謝が、主人の毎月のお小遣いの倍近くを超える。あるんですこん家庭も。