就職に強い入学しやす大学の秘密は手厚い支援にありました!

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就職に強い入学しやす大学の秘密は手厚い支援にありました!

コロナ禍にも負けない手厚い支援の大学の実態を説明したいと思います

偏差値が低くて入りやすい大学でも、有名企業への就職率が高い大学が存在する。そうした大学の特徴は、就職支援が手厚く、きめ細かいことにある。そこで、特集『入試・就職・序列 大学』(全23回)の#2では、コロナ禍でも臨機応変に対応して、万全の体制で学生をサポートする様子を、各大学への取材によりお伝えしていく。

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■入りやすいのに有名企業に就職できる大学

特徴は「きめ細やかな就職サポート」にあった

多くの受験生や保護者にとって、迷いが生じるであろう大学の志望校選び。学びたい内容、偏差値、立地、学費などあらゆる条件の中から、優先度を決めて絞っていかなければならない。

その中でも特に、受験生の将来に直結する重要な指標なのが「就職」である。最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、以前よりも大学の出口戦略に関心が高まっている保護者も多いだろう。

就職に強みを持つ大学の中でも、同じような入学偏差値の大学グループの中でひときわ、就職率の高い「就職レバレッジ大学」が存在する。

そこで、就職支援の特徴的な仕組みを持っている東京女子大学、東京工科大学、学習院大学の3大学に取材を実施した。各大学が、どのようなサポートをしているか、具体的に紹介していく。特に今年や昨年は、コロナ禍によって、オンライン面接が当たり前になるなど、就職活動の常識がガラリと変わった。この緊急事態に、就職支援に強みを持つ大学はどう対応したのだろうか。

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■ コロナ禍の就活相談を24時間体制に
東京女子大学のチャットサポート

まず、紹介したいのが東京女子大だ。東京女子大は2020年度の卒業生1023人のうち236人が主要企業400社(大学通信算出のデータより)に就職している。女子大は全体的に就職に強いが、400社への就職率は女子大の中でもトップ3に入る実績だ。

東京女子大の特徴は何より個別のサポートの手厚さだ。大学職員1人につき200人ほどの学生を担当して、個別にサポートする伝統があるのである。

コロナ禍でオンラインでの体制整備を余儀なくされたが、昨年3月とかなり早い段階でチャットボットを導入し24時間体制でキャリアカウンセリングのできる、手厚いサポートを維持する仕組みを整えた。

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東京女子大キャリア・センターで主任を務める村石隆造氏は「コロナ禍で大学に通えなくなり、個人と向き合う機会が不足してしまうことを危惧した。大学としては相談窓口をどれだけ増やしていけるかが鍵だった」と語る。

そこで、チャットボットサービスである「チャネルトーク」を導入し、相談機会を創出。定型的な質問に関してはボットで自動的に回答をもらうことができ、より込み入った相談をしたいときはオペレーターに直接問い合わせることができる。

村石氏によれば「就活相談の半数は定型的な質問なので、学生は欲しいときに欲しい情報を得られるようになっている」とのこと。「自己分析」「業界研究」「選考対策」など、ほとんどの学生の悩みは共通しているのだ。結果的に、昨年3月の開始からわずか1週間で、メッセージの送受信の総数が3万2000通に及んだ。

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入学しやすいのに就職に強い大学の秘密、コロナ禍に負けない手厚い支援の実態
試験の勉強方法やエントリーシートの添削など、個別の相談であっても、人事コンサルタントからすぐに返信が来る 画像提供:東京女子大学
直接相談ができるオペレーターは、17年間で30校以上の大学のキャリアコンサルティングを行ってきた人事コンサルタントが担当しているため、エントリーシートや面接の相談など具体的な悩みにも、本質を突く回答が返ってくる。

チャット機能を導入して1年以上がたった今でも、オペレーターへの相談数は1時間当たり平均9人、直近3カ月は1時間で6人以上にも上る。リピーターの数も半数以上と学生からの評判も良く、結果的にコロナ以前に対面で対応していた相談数をはるかに超える数をさばいている。

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■ インターンとは大きく異なる!
超実践的な東京工科大のコーオプ実習

続いて紹介する東京工科大は、学部・学科によって多少の差はあるものの、全ての学科で93%以上の就職率を誇る。中でも、工学部機械工学科は就職率100%だ。この大学の工学部では、工学系大学ならではの実践的な制度「コーオプ実習」を2015年から導入している。

コーオプ実習とは、大学と企業が連携し、学生の実践力を養成する教育プログラムのこと。1906年に米シンシナティ大学工学部で開発されて以来、米国、カナダ、欧州で盛んに取り入れられており、東京工科大では、工学部において2015年度から必修科目としてコーオプ教育を開始した。

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工学部の学生は全員、学内の授業と学外の就業経験に交互に参加することができる。一定期間企業で働く体験ができると同時に、労働賃金も支払われ大学の単位も修得できるお得で効果的なプログラムだ。

賃金の支払いは、派遣会社を介して行われ、どの企業に就業しても学生は一律の給与が支払われる仕組みだ。大学・派遣会社・企業が連携して、労務管理をする。

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コーオプ実習を経験した学生たちは、実習を通じて「大学での学習が実社会でどのように活用されるか」を理解するだけでなく、社会人としてのマナーや自立する力なども身に付けることができるのだ。コーオプ実習で就業契約を交わしている企業は約500社。そのうち、350社が実際に受け入れている。あくまで教育のため、採用に直結させるプログラムではないが、実習で行った企業にそのまま就職する学生も多い。

就業経験といえば、一般的にインターンシップが認知されているが、コーオプ実習はインターンシップと大きく異なる点が幾つかある。

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■ 東京工科大のコーオプ教育とは

まず、全学科の学生が約2カ月間にわたり各企業で就業経験をするため、通常のインターンシップと比べて就業期間が長期間だ。それに加え、学生に対し企業の一員として賃金が支払われる。

さらに、インターンシップは学生が自発的に参加するのに対して、東京工科大のコーオプ実習はキャリアコーオプセンターが一元的に管理・運営を行っている。就業経験の前後に事前・事後教育も実施してフォローするので、学習がより意味のあるものになる仕掛けとなっている。

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コーオプ実習は、日本ではまだほとんど定着していない。なぜなら、受け入れ先となる企業を開拓し、インターンシップとの違いを理解してもらった上で教育プログラムとして実現させるには、大学側の相当な労力が必要だからだ。実際に、学部教育の一貫として組み込むことが実現しているのは、今のところ東京工科大だけだ。

東京工科大がそこまでしてコーオプ実習を取り入れた理由として、「建学理念である実学主義教育との親和性を感じたからだ」と学務課の豊嶋信一氏は述べる。経営陣が2013年に米国やカナダの大学を視察した際に実践教育の先端とも言えるコーオプ実習を目の当たりして、取り入れることを決意したのだという。

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昨年はコロナ禍の影響で、期間を2~3週間に短縮したり、一部テレワークでの実習となったりしたものの、企業の協力を得て例年通り実施することができた。全体的に就職に苦戦する学生も多かった中、コーオプ実習が必修科目となっている工学部の学生は比較的スムーズに就活を終える傾向にあった。

豊嶋氏いわく、「(2、3年生時のコーオプ実習で)働く意識をすでに身に付けているので、早い段階で就職後のイメージをつかんでいる学生が多い。また、コロナ禍では就職希望学生のうち14%がコーオプ実習の受け入れ企業に就職した」とのことだ。例年は10%ほどが就職するため、コロナ禍で採用に直接つながる機会にも拍車がかかった。

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■ 300人のOB・OGが総力戦!
コロナ禍でも就活の極意をたたき込む

最後に紹介するのは、学習院大で実施されている面接対策セミナー、通称“メンタイ”だ。学習院大は97.7%と高い就職率で、主要企業400社への就職率も20%を超える。メンタイの歴史は古く、30年前に大学OB6人が有志で始めた活動だ。次第にOB・OGによって大きな組織として成長し、今では学内の就職希望学生のうち8~9割が参加する学習院大のキャリア支援を象徴する一大イベントとなった。

メンタイの最大の特徴は、あらゆる業界で活躍するOB・OGおよそ300人を講師として招き、参加する3年生を少人数にグループ分けして、2日間みっちり就活対策をすることだ。グループごとに、メイン講師とサブ講師が付き、時に寄り添い時に厳しく指導する。

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エントリーシートの書き方や面接練習等だけではなく、普段は接する機会のない社会人との生の会話から「働く意味」を考えるきっかけをつくっている。なお、すでに内定をもらっている4年生もサポーターとして参加し、アドバイスを行う。

毎年1月に開催しており、初めてコロナ禍での開催となった今年は、オンラインにて2日間決行した。対面で実施していた昨年までとは異なり、ワンデー完結型に変更。1日目538人、2日目527人と、オンラインでもおよそ1100人もの学生が参加した。

「オンラインになっても、グループ分けをして少人数で対策する方針はそのまま。ただし今年からは、コロナ禍で就活の新常識となったオンライン面接に特化した練習を重点的に行った」と学習院大キャリアセンター長の淡野健氏は主張する。

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さらに、10~15分の長さで視聴できるオンデマンドの就活アドバイス講座を12本ほど配信し、授業の空き時間に見てもらうなど、コロナ禍ならではの工夫も行っている。

これまで紹介した3大学のように、コロナ禍であっても、ツールをうまく使い、仕組み化して学生へのサポートを徹底することで、むしろ就職支援が強くなっている大学は少なくない。

各大学によって、就活支援の濃度や方法はさまざまだ。受験生の学力がそれほど高くなくても、きめ細やかな就職支援が提供される大学を選ぶことができれば、就職時に大きくレバレッジが利いてくるはずである。



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