東大の「秋入学」は実現するのか?ニッポン復活はあるか・!

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東大の「秋入学」は本当に実現するのか?ニッポン復活はあるか・!

新入生を祝福するのは、満開の桜ではなく、うだるような残暑とセミの大合唱になるかもしれない。東京大学が、学部の入学時期を春から秋に全面移行する方針を発表してから久しく時は過ぎた。

旧帝大や有名私大でも同調する動きが急速に広がっている。関係者は「世界に勝つため」などとなにやら鼻息が荒いのだ。

欧州危機の足音が高まり、立ちすくむ経済。未曽有の大震災と原発事故に、いまも有効な解決策を見いだせない政治。国民の閉塞感がいや増すなか、「今の日本は厳しい状況に置かれている。大学が変わることで、社会を変える条件を作りたいものだ」

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新入生を祝福するのは、満開の桜ではなく、うだるような残暑とセミの大合唱になるかもしれない。東京大学が5年後をめどに、学部の入学時期を春から秋に全面移行する方針を発表した。旧帝大や有名私大でも同調する動きが急速に広がっている。関係者は「世界に勝つため」などとなにやら鼻息が荒いのだ。

欧州危機の足音が高まり、立ちすくむ経済。未曽有の大震災と原発事故に、いまも有効な解決策を見いだせない政治。国民の閉塞感がいや増すなか、「今の日本は厳しい状況に置かれている。大学が変わることで、社会を変える条件を作りたい」

その最大の”起爆剤”が、東大の秋入学への全面移行構想だ。これには、「東大単独で秋入学は実施しない。他大学と足並みをそろえることが大事だ」

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一つの案ととしては、北海道大▽東北大▽筑波大▽東京工業大▽一橋大▽名古屋大▽京都大▽大阪大▽九州大▽早稲田大▽慶応大の11大学と秋入学を検討する協議会を作るのはどうだろう。

それには、大学側と経団連など経済界との間で、卒業も秋になった場合を想定して、学生の採用時期などについて協議する必要がある。

東大を除く全国の大学アンケートを見ても、9割近い大学が秋入学に前向きな姿勢を示している。すでに「検討中」としている大学もある。この流れで秋入学への流れを検討していただきたい。

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■東大が秋入学にこだわる理由はどこにあるのか

日本の大学が抱えてきた問題点を指摘する。「世界中で4月入学の国はインドなどたった7カ国しかない。なので、日本の優秀な学生は海外に留学しづらく、人材育成が進まないのだ。

逆に、海外の学生も日本の大学に来づらい状況だ。一方で中国や韓国は海外留学生が増え続けている。人材登用のグローバル化が進むなか、日本は『鎖国教育』を続けたせいで、世界から取り残されている。

そもそも日本の大学は、1872年に学校制度の法令ができてから、ずっと9月入学だった。ところが、1921年に会計年度に合わせる形で、便宜的に4月入学となった。以来、すでに90年がたっている(笑)。

現状では、通っている大学が単位互換制度などの特例を設けていない限り、海外留学すると卒業が1年遅れてしまう。

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何年か前になるが東大の学内調査によると、学部学生1万4千人のうち、海外への留学生はたったの53人だった。不況の影響があるとはいえ、卒業の遅れというリスクが、学生の留学意欲をそぐ大きな要因になっていることは否めない。

グローバル化の遅れは、大学の国際的な評価にも直結する。イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が昨年10月に発表した世界の大学ランキングでは、東大は30位。前年に抜かれた香港大を抜き返しアジア1位の座は取り返したが、それでも07年の17位から、凋落の一途をたどっている。

「日本企業のグローバル化はすさまじいスピードで進んでおり、日本が国際社会で競争力を発揮するためにも、東大の試みは成功してほしいところだ。

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■留学生に負ける偏差値エリート

近年、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングやパナソニックなど多くの大手企業が外国人や外国人留学生の採用を増やしている。楽天にいたっては、社内公用語を英語で統一するようにルール化した。

「企業は、市場だけではなく、人材も海外に求めており、こうした流れは今後さらに加速します。将来は市役所やスーパーでも、グローバルな人材が必要とされる時代になるはずだ」

。「現実をしっかり見ないといけない。就職面接では、外国人留学生のほうがはるかにプレゼンなどの能力が高く、偏差値偏重の教育の中で育ってきた日本の大学生は、多くの企業で『使えない』という評価になっている。

東大生にも就職留年がたくさんいる。日本がバカな国になってしまう瀬戸際でしたが、これでやっと、いい意味での競争をする土台ができると期待したい。とはいえ、秋入学への全面移行を実現するために超えなければならないハードルは少なくない。

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まず問題になるのは、

(1)高校卒業と大学入学の時期のずれをどうするか、
(2)4月入社が多い企業の採用時期と大学の卒業時期のずれをどうするか、の二つだ。

秋入学になると、高校生が現役で大学に受かった場合、高校卒業から大学入学まで半年間の「ギャップターム」が生じる。イギリスなどでは、高校卒業後、大学の授業開始まで1年程度の「ギャップイヤー」があり、海外留学やボランティアなどにあてる学生が多い。

04年の開学当初から9月入学制度を取り入れている国際教養大(秋田市)は、その「間」を活用した日本での草分け的存在だ。08年度から、入学予定者が入学までの期間、社会奉仕活動に取り組む特別枠の入試まで導入している。

長所としては、「受験勉強から大学の勉強へ頭を切り替える時間が持てるので、大学で学ぶことが明確になります。卒業と就職の時期がずれると、3年生の早期からバタバタと就職活動を始めるという今の異常な状況を改善できる。

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就職できるかどうかは、その学生の魅力次第で、卒業の時期が他大学や企業の採用時期と一致する必要はない。実際、秋入学の学生の就職率は100%で、女子学生のほとんどが総合職に就いている」

ただ、あえて指摘するなら、「ギャップタームに留学ができるといっても、家庭に経済的余裕があればの話。放っておかれたら意味がないし、逆に大学が何らかのカリキュラムを組んだ場合、余分な学費をとられるケースも考えられる」

「ギャップタームを有効活用するのはごく一部のエリート学生にとどまり、その他多くにはモラトリアム期間になってしまうのではないか。大学全入時代に、ギャップタームを導入するのはナンセンスだ」

予備校関係者の声としては、「大学卒業までの期間が延びるから、1浪はともかく、2浪は今まで以上にしづらい。例えば、浪人するケースが多い医学部志望の生徒は、今まで以上に焦るのではないでしょうかという意見もある。

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大学全体で一律に秋入学と決めるのではなく、学部ごとに将来の進路の傾向を見極めて整備すべきとう意見もある。 また、卒業時期と企業の採用時期のずれについても「就職活動の現場に余計な混乱が生じる」とか「通年採用や、数回にわけて採用している大手企業もある。

が、官公庁などは今も4月採用が多い」といった懸念も教育関係者の間では確かにある。今の段階では、明確な方向性は固まっていない。今後は、こうした現場の声を一つひとつ丁寧に検討していく必要がある。

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■さらに、入学時期だけでなく、大学の「質」の充実そのものが欠かせない

秋入学の方向性は評価をしつつも、外形的なシステムを変えるだけで、海外から優秀な学生を呼び込めるかというと、甘いと思うところもある。海外では教授になってからが研究のスタートだが、日本では教授になることが目的化していて、肩書を手に入れたとたん『名誉職』として居座ってしまう人も多い。

そんな権威は国内でしか通用しません。教授の任期制を導入して活性化したり、今が旬だという若手の教授をそろえるなど、海外の学生に魅力的なシステムをしっかり作らないと、逆に競争原理にさらされて恥をかくことになりかねない。

カタチを変えることは重要だが、それをジャンプ台にして飛躍できるかどうかは、そこに携わる人や組織の力量にかかっていると言える。日本復活へ向けた大きな一歩になるかどうか。本当の勝負はこれからだ。

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