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東大法学部・就職活動では強さを発揮できていない
かつては政財界は言うに及ばず、芥川賞作家やプロの囲碁棋士ら多彩な人材を世に送り出してきた東京大学法学部。しかし、同学部の“入り口”である文Iの志願者は減少しており、学部の「就職力」をみると、日本一のエリート学部が、意外に就職活動では強さを発揮できていない。
有名企業への大学別の就職状況をまとめた「社就職率ランキング」でも、東大は18位だ。これは法学部だけの順位ではないが、東大の「就職力」が決して高くないことがわかる。
意外だが東大法学部は就職に強くないのだ。法学部への入り口となる文Iが文系における日本最難関の入試なのは間違いないが、受験勉強で大変な負担を強いられる割に、その努力に見合う就職状況とはいようだ。
以前なら文Iに挑戦していたはずの受験生でも、一部は地元の医学部や工学部を目指すようになりました。文系で東大志望であっても、就職を考えて文II(主に経済学部)に流れるケースもある。
授業は大教室で先生が一方的に話すことも多い。聞き取りにくいためICレコーダーに録音して文字起こし。リポート試験はゼロ。すべてテストなので本当に厳しい。3年の後期試験は完全に就活時期と重なるので、就活が二の次になる。
つまり、公務員試験や司法試験を目指すカリキュラムのままで、民間への就活に対応できていないのだ。
■なぜ歴代経団連会長に京大出身者はゼロなのか
東大と京大の実力にはどのような違いがあるのか。アカデミズム・文化の分野では自然科学系で京大が強さを見せたのに対し、文学賞受賞者など文化の世界では東大が圧倒している。
経済・実業界ではどうだろうか?
東大OBによると、企業などに就職した人たちは、ひとまとめに「ミンカン(民間)」と呼ばれるそうだ。それほど「官」への就職が多い東大だが、実業の世界ではどんな活躍をしているのだろう。
企業トップの出身大学は慶應が1位(313人)、次いで早稲田(231人)、東大(201人)の順になっている。京大は5位だが、88人とそれなりの数がいる。
京大の地元である関西経済連合会(関経連)の会長も、東大の6人に対して、京大は4人と健闘している。ところが、日本経済団体連合会(経団連)の会長となると、歴代12人のうち8人を東大が占め、京大はゼロだ。
「出身大学の意味は、“18歳時点の学力”の達成度合いであり、これはわりあい客観的な物差しです。トップの偏差値である東大に合格した人たちは、もともとの情報処理能力に加えて、目的達成意欲が強い傾向がある。
だから、企業に就職してからも、出世レースでトップを目指してがんばる人が多い。
トップや権威を求める志向は、医師の世界でも同じなのか。
日本医師会の会長をみると、初代の北里柴三郎から10代目までの9人中7人が東大卒だ。京大は医学に強いイメージがあるが、まだ一人も出ていない。
東大(理I)を中退、京大医学部に入り直し、医師になったという経歴を持つ人もいる。
東大がタテ社会を前提としたエリートなら、京大は在野精神を持つ自由人。自らの力で道を切り開いていこうとする気風で京大を選ぶ人もいる。