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東大・京大推薦入試は「多様性」ある学生を求めているのだ?!
求めるのは“突出した”学生 東大・京大推薦入試の成果は?
東大の推薦入試や京大の特色入試の合格者が発表された。両大学の新入試はどんな成果があり、どんな高校生が栄冠を勝ち取ったのか。
東大推薦入試の合格者発表。「ペーパーテストでは取りこぼしていた学生を、面接などを通して選抜できた。多様性に寄与している」と強調した。
一般入試で測れない資質・能力の生徒が入る手応えとともに、「画一化」を指摘される学内への危機感がにじむ。
合格者の出身校の顔ぶれは興味深い。私立校、公立校、国立校が判明している。
東大の一般入試の合格者は例年、開成(東京)、筑波大附駒場(東京)、麻布(東京)など首都圏の国立や私立の高校が、100人前後を送り出す常連校。これに対し、推薦入試は公立が健闘しているといえる。
これまで東大にあまり縁がなかった高校も増えた。推薦入試の合格校には、高輪(東京)、駿台甲府(山梨)、小林聖心女子学院(兵庫)、宇部(山口)、高知追手前(高知)など、東大合格者ゼロ(含む一般入試)の学校が14校もある。
推薦入試導入による変化で象徴的なのは、学生の男女比を見ると(2016年度)、一般入試の合格者は、女子比率が18%。20年には30%へ上げる目標だが、簡単ではない。「学校基本調査」(文部科学省)によると、全国の大学の学部学生の女子比率は44%。女子が少ない東大は「多様性が乏しい」との見方もできる。
東大は推薦入試募集で、高校1校あたり男女1人ずつの推薦枠を設けている。高校側から不満の声もあるが枠を維持した。
「推薦枠を設けることで、一般入試と比べて、女子や地方の高校生の志願者の割合が高いと思われます。公表された合格者の数をみると、女子や地方の生徒の割合が高くなっている」。
2017年度推薦入試の合格者の女子比率は、16年度一般入試の2倍超の38%。関東地方(含む東京都)以外の高校出身者も、一般入試の約4割に対し、5割を超えた。
「地方では近年、東大に入れる学力があっても、地元の国立大を選ぶ生徒が増えている。経済的な理由や、予備校がなくて浪人しにくい環境の地域が増えていることなどが背景にある。東大が推薦入試の成果を強調するのは、地方や女子の優秀な生徒を得ている手応えからだ。
推薦入試は「学ぶ意欲」が重視される。
東大法学部志望の高校生は、官僚や政治家をめざす人が多い。教員も、そのほうが面接などで知識や意欲を採点しやすい。法学部が定員を超える合格者を出したのは、東大の目にかなうエリートの人材が多かったからだ。
今後の課題は、推薦入試の意義を全国の生徒や教員にどう理解してもらい、志願者を増やすか。今年度の志願者は昨年度と同数の173人。合格者は71人と昨年度より6人減った。
生徒を推薦した高校は、昨年度より8校多い159校。一方で、昨年度に推薦を出した高校のうち、約3分の2の97校は今年度の推薦を見送っている。
東大は推薦入試の募集要項で、海外有力大学が入学資格として採用する「国際バカロレア」での成績や科学オリンピックの出場経験などを例に挙げている。
こうした例示から、「スーパー高校生しか受験できない」との見方もある。面接対策、小論文指導、部活動の活動実績など、複数の教員が協力する必要があり、高校側の負担も大きい。学長らはもっと積極的に高校に推薦していただきたいという。
東大と同様に、昨年度から始まった京大の特色入試は合格者が増えた。
京大は高校1校あたりの人数制限のないAO入試が多く、志願しやすい。昨年度は農学部の募集が食料・環境経済学科だけでしたが、全学科に広がりました。工学部や医学部人間健康科学科などの出願要件緩和も志願者増につながったと言える。
京大が出願要件を緩和したのは、前回の反省もあるからだ。それは、薬学部の募集は「センター試験で900点満点中740点以上」が選抜基準の一つだった。
試験を担当した教員全員が『合格』と判定した生徒が、センター試験でわずかに点数が足りず、不合格となった。
そのため、薬学部は『900点満点中概(おおむ)ね8割以上』と基準を緩やかにした。東大でも70%台で合格した人もいる。両大学とも全教科で平均的に得点できる学力よりも、“突出した”学生を求めているのだと思います。